2005年 08月 30日
童貞海岸 |
いつのころからか、
岸に男がたびたび打ち上げられるようになった。
たいていのものは死んでいるが、
ときおり、息のあるものがいて、彼らは保護され、
岸沿いの村で暮らすようになる。
村人たちは、男たちにある特徴を見出していた。
雰囲気、しぐさ、話し方…
それらはまぎれもなく童貞のそれだった。
助けられた童貞らは、自分のことを何も覚えていない。
そしてどこから来たのかも。
海の向こうには何もなく、永遠に海が広がっている、
そう固く信じていた村人たちは、童貞らの漂着により、
どこかに陸地があるのだということが分かったのだった。
そうなると、未だ知らぬ陸地に想いを馳せるものも出てくる。
しかし、村長は言う。
海の向こうのことなど考えるな。
そういう、童貞だらけの陸地に何があるというのだ。
この村に流れ着いた彼らは
遠い陸地に絶望したからこそ、故郷を捨てたのではないか?
確かに、と村人たちは思った。
童貞だらけの地など、なんの価値もなかろう、と。
こうして、遠き海の彼方にあるという新しい世界を見つけようと
思うものはいなくなった。
ちなみにこの村、ほかの世界からは、
「遠き海の彼方にあるという幻の島」、と
おとぎ話のように語られている。
岸に男がたびたび打ち上げられるようになった。
たいていのものは死んでいるが、
ときおり、息のあるものがいて、彼らは保護され、
岸沿いの村で暮らすようになる。
村人たちは、男たちにある特徴を見出していた。
雰囲気、しぐさ、話し方…
それらはまぎれもなく童貞のそれだった。
助けられた童貞らは、自分のことを何も覚えていない。
そしてどこから来たのかも。
海の向こうには何もなく、永遠に海が広がっている、
そう固く信じていた村人たちは、童貞らの漂着により、
どこかに陸地があるのだということが分かったのだった。
そうなると、未だ知らぬ陸地に想いを馳せるものも出てくる。
しかし、村長は言う。
海の向こうのことなど考えるな。
そういう、童貞だらけの陸地に何があるというのだ。
この村に流れ着いた彼らは
遠い陸地に絶望したからこそ、故郷を捨てたのではないか?
確かに、と村人たちは思った。
童貞だらけの地など、なんの価値もなかろう、と。
こうして、遠き海の彼方にあるという新しい世界を見つけようと
思うものはいなくなった。
ちなみにこの村、ほかの世界からは、
「遠き海の彼方にあるという幻の島」、と
おとぎ話のように語られている。
#
by nna68000ex2
| 2005-08-30 08:39
| 童貞夜話